こんにちは。1級技能士のゆーじです。
成形条件10項目の中で、射出・保圧と並んで欠かせないのが計量です。この記事では、計量という工程が何をしているのか、新人がまず見るべきポイントを解説します。
この記事のポイント:計量は「次のショットのために必要な樹脂を用意する工程」。計量値・クッション・計量時間の3つを関連づけて見て、いつもと変わっていないかを確認する。
計量とは
計量とは、次の射出に向けて、シリンダー内で樹脂を溶かしながら必要な量だけ準備しておく工程です。スクリューが回転しながら後退していき、規定の量まで樹脂が溜まったところで計量が完了します。射出速度や圧力が「樹脂を金型に押し込む」工程であるのに対し、計量はその前段階、「樹脂を用意する」工程にあたります。
計量で見るべきポイント
私が計量を見るときは、計量値・クッション・計量時間の3つを見て判断しています。
製品の大きさや重量、ランナーなどを含めて必要な樹脂量を考え、その結果として設定した計量値と、実際にどれくらいのクッションが残っているかを確認します。さらに、計量にどれくらい時間がかかっているのかも合わせて見ます。
計量時間は、スクリュー回転数を調整することである程度コントロールできます。回転数を上げれば計量時間は短くなり、下げれば長くなります。
私の場合は、計量が冷却終了の1〜2秒前くらいに完了する状態をひとつの目安にしています。計量が早く終わりすぎると、次の射出まで待つ時間が発生します。逆に計量が冷却終了に間に合わなければ、計量が終わるまで次のサイクルに進めないため、サイクルタイムにも影響します。
ただし、これはあくまで私が現場で使っている目安です。製品や樹脂、成形機によって適切な条件は変わるため、「必ず1〜2秒前にすればよい」という意味ではありません。計量時間だけを単独で見るのではなく、冷却時間・スクリュー回転数・背圧・クッションなどを合わせて確認することが大切です。
💡 あわせて読みたい: 計量時間の基準となる「冷却時間」そのものの適切な設定手順や、冷却不足によるトラブル対策については「【1級技能士が解説】射出成形における冷却時間の決め方とトラブル対策」で詳しく解説しています。
クッションとは
クッションとは、射出・保圧が終わったときに、スクリュー先端側に残っている樹脂の量を示すものです。クッションが毎ショット大きく変動している場合は、計量そのものに加えて、逆流防止リングなど別の原因を疑う必要があります。
計量時間がいつもと違うときに見るポイント
新人のうちは、計量時間がいつもと違っていても「数字が変わった」だけで終わってしまいがちです。ですが、計量時間の変化は、条件や材料、設備の状態が変わっているサインになることがあります。
例えば、これまで冷却終了の1〜2秒前に計量が完了していたのに、急に冷却終了直前までかかるようになった場合は、計量時間が長くなっている原因を確認します。スクリュー回転数だけでなく、背圧や樹脂の状態なども確認します。
逆に、冷却終了よりかなり早く計量が終わるようになった場合も、単純に「速くなったから良い」とは限りません。スクリュー回転数や計量状態などを確認し、必要以上に早く計量が終わっていないかを見ることも大切です。
新人のうちは「計量時間は○秒なら正解」と覚えるのではなく、いつもと比べて変化していないかを見る習慣をつけることをおすすめします。
計量とスクリュー回転数・背圧の関係
計量そのものを直接調整する項目ではありませんが、計量の状態に大きく関わってくるのがスクリュー回転数と背圧です。スクリュー回転数は計量にかかる時間を左右し、背圧は樹脂の溶け方や計量の安定性に影響します。計量に違和感がある場合は、計量値だけを見るのではなく、スクリュー回転数や背圧も合わせて確認します。
それぞれの詳しい役割はスクリュー回転数の記事と背圧の記事にまとめています。
まとめ
計量は、次のショットのために樹脂を用意する工程です。計量値・クッション・計量時間の3つを関連づけて見ることが基本で、計量時間はスクリュー回転数で調整できることも覚えておくと、条件を見直すときの視点が広がります。何より大事なのは、数値そのものを覚えることより、いつもと比べて変化していないかを見る習慣です。
スクリュー回転数・背圧との関係は、それぞれの個別記事もあわせて参考にしてください。射出速度・射出圧力の決め方は射出速度の記事と射出圧力の記事を、条件を一から立ち上げる手順は条件出し10ステップを参考にしてください。
計量時間と密接に関係する冷却時間の決め方については、こちらの記事もどうぞ。
→ 【1級技能士が解説】射出成形における冷却時間の決め方とトラブル対策


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