こんにちは。1級技能士のゆーじです。
「クッション量が毎ショット変わる」「保圧をかけても圧が抜ける」。こんな症状が出たとき、逆流防止弁(バックフロー防止弁)を疑う方は多いと思います。
ただ、私は逆流防止弁を普段から頻繁に確認しているわけではありません。疑うのは、ある条件がそろったときだけです。この記事では、私が逆流防止弁を疑う条件と、確認するときの見る順番、交換の目安をまとめます。後半には、朝イチにぼーっとした状態で作業して、リングを壊してしまった失敗談も書きました。
この記事のポイント:逆流防止弁は、毎回見る部品ではありません。「症状が出ていて、かつ樹脂漏れがない」ときに疑い、リング→シート面→スクリューヘッドの順に目視で確認します。
本記事の数値・判断基準はあくまで私個人の経験に基づく参考値です。実際の作業では機械メーカー指定値・社内規定を必ず最優先にしてください。内容の適用による損害について、当サイトは責任を負いかねます。
逆流防止弁とは
逆流防止弁は、射出するときに溶融樹脂がスクリューの後ろ側へ逆流するのを防ぐ部品です。これが十分に働かないと、射出圧力や保圧が樹脂に伝わりにくくなり、クッション量のバラつきなどの症状につながることがあります。症状の出方は、摩耗の状態や機械の構造によって異なります。
私は次の3点セットで考えています。
- スクリューヘッド(先端)
- 逆流防止リング(チェックリング)
- スクリュー(リングが当たるシート面)
機種によってはシート面が別部品(シートリング、逆止座)になっていることもあるので、手元の機械の構成は確認してください。
疑うのは「症状が出て、樹脂漏れがないとき」
私が逆流防止弁を疑うのは、次のときです。
📋 私が逆流防止弁を疑う条件
・クッション量が毎ショット変わる
・保圧をかけても圧が抜ける
・そのうえで、樹脂漏れが出ていない
ただし、これらの症状だけで逆流防止弁の故障と断定はできません。あくまで「疑う手がかり」です。
逆に言うと、それ以外のときは、逆流防止弁をあまり確認しません。不良が出るたびに分解していたら、時間も手間もかかります。「どこを先に疑うか」を決めておくことが、現場では大事だと考えています。この考え方は、不良の原因を絞り込む判断基準の記事でも書いています。
先に樹脂漏れを確認する理由
クッション量のバラつきや圧が抜ける症状は、逆流防止弁だけの症状ではありません。樹脂漏れがあっても、同じような症状が出ることがあります。
そのため、私はまず樹脂漏れがないかを確認します。漏れがあるのに逆流防止弁を分解しても、原因はそこにないからです。「症状が出ている」かつ「樹脂漏れがない」。この2つがそろって、はじめて逆流防止弁を疑う。これが私の順番です。
クッション量の見方については、クッション量の記事も参考にしてください。
確認方法と見る順番
分解・点検時の注意:スクリューや逆流防止弁の分解・点検は、機械メーカーの手順と職場の安全ルールに従って行ってください。必要な停止・冷却・残圧確認などを実施し、安全が確保されていない状態では作業しないでください。具体的な方法は機械によって異なるので、メーカーの手順を優先してください。
そのうえで、私は次の順番で見ます。
📋 私が見る順番
①逆流防止リング
②シート面(スクリュー側)
③スクリューヘッド
まずリングを見る
理由は2つあります。
- 3点の中で動く部品なので、摩耗や破損が出やすい
- クッション量のバラつきや保圧抜けといった症状に、直結しやすい
後ほど書く失敗でリングを壊したことがあるので、私は迷わずリングから見ます。見るのは、次の4点です。
- 欠け
- 割れ
- 偏摩耗
- 外周の段差
次にシート面
リングが無事でも、リングが当たる面が傷んでいると密着しません。見るのは、次の3点です。
- 傷
- 摩耗
- 当たり面の異常
最後にスクリューヘッド
見るのは、次の3点です。
- 傷
- 摩耗
- 損傷
どの部品も、まず目視です。測定器を出す前に、まず目で見る。これが私のやり方です。
交換の目安
リングは、次のどちらかがあれば交換しています。
📋 私の交換の目安
・外周に段差や偏摩耗がある
・割れや欠けがある
私の現場では、これらが見つかれば即交換としています。ただし、機種や材質によって許容できる摩耗は違うので、あくまで私の基準です。実際の交換判断では、機械メーカーの点検基準や部品の許容寸法も確認してください。
段差や偏摩耗は見落としやすいので、光を当てながら外周を一周、ゆっくり見るようにしています。
やらかした話:朝イチにリングを壊した
ここからは、あまり思い出したくない失敗談です。
ポリカーボネート(PC)の成形を始める前の朝イチでした。正直に言うと、頭がまだ回っていない、ぼーっとした状態で作業をしていました。その状態で、冷間起動防止を切ったままスクリューを回してしまいました。
次の瞬間、「ボキッ」という音がしました。ヤバいと思ってすぐに分解したところ、逆流防止リングが破損していました。
冷間起動防止は、樹脂が溶けきっていない状態でスクリューが回るのを防ぐための安全機能です。それを切った状態で回したことが原因だったと考えています。
この失敗から決めたこと
朝イチこそ、手を止めて確認する。そのために、次のことを決めました。
スクリューを回す前に、必ずノズル温度が上がっていることを確認する。
私はノズル温度を見る習慣にしていますが、機械によってはシリンダー各ゾーンの温度も合わせて確認すると、より確実だと思います。
「気をつけます」だけでは、ぼーっとしているときは守れません。確認する場所を決めて習慣にしておくことが、私にとっての再発防止です。冷間起動防止は、安全のための機能です。作業を急いでいるときほど、勝手に切らない。この失敗で、私はそう学びました。
まとめ:逆流防止弁は「いつ疑うか」を決めておく
📋 この記事のまとめ
・疑うのは、クッション量のバラつきや保圧抜けがあり、かつ樹脂漏れがないとき
・症状だけで故障とは断定せず、先に樹脂漏れを確認する
・見る順番は、私は「リング→シート面→スクリューヘッド」
・交換の目安は、リング外周の段差・偏摩耗、割れ・欠け(私は即交換)
・確認は、まず目視
・スクリューを回す前には、必ずノズル温度が上がっていることを確認する
逆流防止弁は、毎回見る部品ではありません。だからこそ、「いつ疑うか」を決めておくと、慌てずに判断できます。
クッション量と計量状態の関係は、計量の記事で見方をまとめています。関連して、保圧が効かないときの考え方は保圧の記事、成形条件の全体像は成形条件まとめにまとめています。
ご質問や「うちではこう見ている」という意見があれば、Xでもこの記事のコメント欄でも、気軽に教えてください。

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