成形現場に配属されたばかりの新人が最初につまずくのが、「これは不良品なのか、良品なのか」の判断です。私自身、新人の頃は目の前の製品がどの不良に当てはまるのか分からず、先輩に聞いて回っていました。
この記事では、現場でよく出会う成形不良10種類について、まずは「名前」と「見た目の特徴」を覚えることを目的にまとめています。それぞれの原因や具体的な対策条件については、不良対策まとめで詳しく解説していますので、この記事は「見分けるための入口」として使ってください。
| 不良名 | どんな症状か | まず覚えるポイント |
|---|---|---|
| ショートショット | 樹脂が金型の末端まで充填されず、製品の一部が欠けたような状態になる | 本来あるはずの形ができていない |
| バリ | 金型のパーティングラインなどから樹脂がはみ出す | 本来ない場所に樹脂が出ている |
| ウェルドライン | 樹脂の合流部分に線状の跡が残る | 樹脂同士が合流した場所に出やすい |
| フローマーク | 樹脂の流れに沿って波状・縞状の模様が表面に出る | 流れ方向に模様が見える |
| シルバー | 製品表面に銀条(すじ状の白い筋)が出る | 銀色・白っぽい筋状の外観 |
| ヒケ | 肉厚部などが冷却収縮でへこむ | 表面が局所的にへこんでいる |
| ソリ | 製品全体または一部が反ってしまう | 平らであるべき製品が反っている |
| ボイド | 製品内部に空洞ができる | 外観だけでは判断しにくい |
| ジェッティング | 樹脂がヘビのようにくねって流れた跡が表面に出る | 蛇行したような流れ跡 |
| 油染み | 製品表面に油のようなシミ・汚れが出る | 樹脂由来とは限らず、金型・設備側も確認 |
※上記はあくまで代表的な見た目の特徴です。実際には複数の不良が同時に起きていたり、同じ見た目でも原因が全く違うケースもあります。「これっぽい」と決めつけず、詳しい診断は各個別記事や不良対策まとめを参照してください。
10種類の不良は、見た目の特徴でおおまかに5つのグループに分けて覚えると整理しやすくなります。

※実際の不良は複数の症状が同時に発生する場合があります。まずは「何が起きているか」を確認し、原因や対策は個別記事・不良対策まとめで詳しく確認してください。
ただし現場では、教科書通りに1種類だけ発生することは少なく、たとえばヒケとボイドが同時に発生していたり、ソリとウェルドラインが同じ製品上に現れていたりすることもあります。私の場合は、まず一番目立つ症状から名前を特定し、そこから「他に併発していないか」を確認する順番で見るようにしています。
✅ 新人教育チェックリスト
以下のチェックリストは、新人教育の進捗確認やOJT記録として利用できます。教育担当者の方は、1か月後・3か月後の到達確認にも活用してください。
- □ 不良が発生した製品を見つけたら、まず良品と比較して「どこが違うか」を確認できる
- □ 成形品を見て、それがショートショットかバリか、見た目から区別できる
- □ ウェルドラインとフローマークの違いを、線状か模様状かで説明できる
- □ ヒケは肉厚部やリブ・ボス周辺などに発生しやすいことを知っている
- □ ソリが起きた製品を、平らな場所に置いて反り量を目視確認できる
- □ ボイドは外観からは分かりにくい不良であることを理解している
- □ ジェッティングの「うねった跡」を写真または実物で見分けられる
- □ 油染みと他の表面変色(シルバーなど)を区別できる
- □ 不良が発生した製品を見つけたら、勝手に条件を変更せず報告できる
- □ 不良の発生箇所を「製品のどこに出ているか」説明できる
- □ 不良がすべてのキャビティで発生しているのか、一部のキャビティだけなのか確認できる
- □ 不良が「毎ショット出るのか」「たまに出るのか」を確認できる
📋 教育担当者向け確認項目
- □ 新人が10種類の不良名を、実物または写真を見て正しく言える
- □ 不良を見つけたとき、まず「何が起きているか」を確認してから報告する習慣がある
新人が最初に覚えるシリーズはこちら:

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